令和6年度 入学式

2024年4月8日 17時27分

校庭に沿って流れる国安川のほとりの桜も既に満開となり、光あふれる春が巡ってまいりました。

本日、ここに、愛媛県議会議員 毛利 修三様、PTA会長 本田 雅也様、同窓会長 板倉 定夫様はじめ、御来賓の皆様の御臨席と保護者の皆様の御列席を賜り、令和六年度愛媛県立吉田高等学校入学式を執り行うことができますことは、新入生はもとより本校教職員一同にとっても、大きな喜びであり、謹んで感謝申し上げます。

 ただ今、入学を許可いたしました八十三名の新入生の皆さん、御入学おめでとうございます。皆さんの御入学を心からお祝いするとともに、皆さんを今日まで立派に育てられた保護者の皆様に、心からお慶びを申し上げます。

 皆さんがこれから学ぶ吉田高等学校は、大正六年一九一七年、山下亀三郎氏によって設立された私立山下実科高等女学校と、大正十二年一九二三年に村井保固氏、清家吉次郎氏、山下亀三郎氏によって設立された吉田町立吉田中学校が、前身となっており、創立百七年目を迎える、歴史ある伝統校です。本校で学んだ同窓生は、二万二千九百九十七名にも上り、故郷や地域社会に貢献した素晴らしい先輩方が学んでこられました。入学してきたことに、大いに自信と誇りを持つとともに、これからの三年間で本校の歴史に新たな一ページを刻んでくれることを期待しています。

皆さんに一つお話したいことがあります。皆さんは、「井戸を掘った人のことを忘れてはならない」という言葉を知っていますか。その昔、十分な飲み水が無く、みんなが困っているとき、大変な苦労を重ねて、井戸を掘り、飲み水を確保し努力した人々がいました。そうした努力の積み重ねが今の水道につながっています。今では井戸もなくなり、当たり前に蛇口から水が出てくるようになると、そうした昔の人々の苦労があったことを気にも留めず、感謝を忘れてしまいがちです。それは、飲み水の話だけではありません。新入生の皆さんが今ここに入学することができたのも、自分自身の力だけはなく、保護者の方々、地域の方々、友達など、多くの人たちの支えがあったことを忘れてはなりません。朝起きた時に新しい制服や靴が綺麗に揃えてあったのも、歩いてきた町や道路が綺麗に整っているのも、全ての当たり前が実はいろんな人たちの優しさや思いやりで作られているのです。困った時には感謝したはずなのに、それが当たり前になると、人はついつい感謝の気持ちを忘れてしまうようです。「当たり前は、誰かがどこかで作ってくれているのです。」皆さんの身の周りには、「ありがとう」と伝えなくてはならない多くの人たちが必ずいます。私が今ここで伝えたいことは、今度は、新入生の皆さん自身が「ありがとう」と言われる行動を積み重ねてほしいということです。何か行動に迷ったとき、「これはありがとうにつながる行いか」を考えて行動してみてください。「ありがとう」があふれる学校に、故郷に、社会に、そうしたことが自然とできる生徒になってほしいと思います。本校で教員として勤めたこともあり、校歌の作詞者でもある詩人・坂村真民氏の「すべては光る」という詩があります。「すべては光る 光る 光る すべては光る 光らないものはひとつとしてない みずから光らないものは 他から光を受けて 光る」

この詩のように、お互いに光を照らし合い影響し合うことで、皆さんそれぞれが、より一層光輝き、毎日、この学校から「ありがとう」という声が、そこかしこで、聞こえてくる三年間を期待しています。

 結びになりますが、御来賓の皆様、保護者の皆様、私たち教職員一同は、総力をあげて、一人一人を支援し、大いに鍛え、励まし、新入生が生き生きと活動しそれぞれの夢が実現できるよう努めてまいります。どうか本校の教育活動に対しまして、温かい御支援と御協力を賜りますようお願い申し上げますとともに、八十三名が高校生活を通して大きく成長することを祈念いたしまして、式辞といたします。

 

令和六年四月八日

愛媛県立吉田高等学校

        校長 宮植 尋史

 

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